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2013年   7月20日 私の意見書−辺野古埋め立て承認申請公告縦覧
  浦島悦子
新基地建設のための防衛省の埋め立て申請に対する公告・縦覧に対する意見書は2000を超えたといいます。ここでは私が出した意見書を紹介します。
利害関係の内容
 

 普天間飛行場代替施設(辺野古新基地)建設計画の地元である名護市東海岸に居住し、計画が持ち上がった当初から、地域と子どもたちの未来を閉ざしてしまう基地建設に反対している住民です。東海岸の二見以北十区の住民で構成する「ヘリ基地いらない二見以北十区の会(1997年10月結成)」の共同代表、および「稲嶺市政を支える女性の会(通称・いーなぐ会。2010年4月結成)」の事務局長を努めています。「北限のジュゴン調査チーム・ザン」のメンバーでもあり、「沖縄・生物多様性市民ネットワーク」にも参加しています。
意    見

 私たちはこの16年余、辺野古への基地建設に一貫して反対してきました。

 静かな過疎地に突然降って湧いた基地建設計画に対し、地域住民をはじめとする名護市民は、政府によるあらゆる圧力をはねのけて1997年12月、市民投票を実施し、「基地ノー」の意思をはっきりと表明しました。にもかかわらず、あくまでも基地を押しつけようとする政府による文字通りの「アメとムチ」によって地域は翻弄され、親子・兄弟、親戚までがいがみ合うほど、温かく緊密だった人間関係はズタズタにされ、防衛省予算によって真新しい施設が次々と建てられるのに反比例するように地域の零細企業は倒産し、過疎化はますます進行しました。

 基地がらみの「金」が自分たちの生活を潤さず、地域の未来を拓かないことに気付いた住民・市民は2010年、「海にも陸にも基地は造らせない」と公約する稲嶺進市長(三原区出身)を誕生させました。基地問題によって分裂させられていた住民が心を一つにして地域を興していこうという機運が生まれ、ようやく軌道に乗り始めたところです。

 埋め立て・基地建設は、私たちのそのような努力を台無しにし、再び、不安に苛まれるあの悪夢のような日々が繰り返されるのではないかと心配でなりません。

 炎天下の、また寒風吹きすさぶ海上で、海岸テントで、政府・防衛局の理不尽で暴力的な調査作業強行に対峙した日々(全県、全国、また世界各地の心ある人々が駆けつけ、ともにたたかってくれました。海岸での座り込みは現在も続けています)。またある時には、ほとんど孤立無援にも感じる中で、襲いかかってくる絶望を払いのけながら、「基地反対」の灯をなんとか絶やさずにともしつづけてきた私たちの努力が実り、現在は政権与党である自民党の沖縄県連を含めてオール沖縄で「県外移設(県内移設ノー)」が明確に打ち出されていることは、私たち地元住民の大きな喜びであり、希望です。にもかかわらず、政府はそれらのすべてを無視し、足蹴にして、強引に手続を進め、着工前の最終段階に来てしまったことに、底深い怒りを抑えることができません。

 しかしながら、仲井眞知事が繰り返し「県外移設の方が早い」と述べておられるように、県民の強い反対(敵意)に囲まれたこの計画は、16年かけても、政府が調査の杭1本立てることさえできなかったように、そもそもが実現不可能です。知事は、辺野古新基地建設に関わる環境影響評価書に対して「生活環境及び自然環境を保全することは不可能」とはっきり述べておられます。その評価書にもとづく今回の埋立承認申請に対しても、地域住民・県民の生活と、未来の子ども達に引き継ぐべき沖縄の大切な宝である自然環境を守るために、埋め立て「不承認」と判断されることを、私は信じています。

 知事の賢明なご判断によって、この無謀で無理な計画に最後のとどめを刺してくださいますよう、心よりお願い申し上げます。
以下の点に関して、さらに詳しい意見を述べます。

1)埋立必要理由書について
 そもそもの始まりは、沖縄の基地負担があまりにも重いので、少しでも軽減するために「世界一危険な基地」普天間飛行場を返還するという話ではなかったのでしょうか。普天間基地は、1945年4月、沖縄に上陸してきた米軍が、もともと集落や肥沃な農地だった場所を、住民らが避難している間に勝手に接収して造った基地であり、無条件返還すべきです。「県内移設」を条件とすること自体が極めて理不尽(負担軽減どころか負担増になる)であり、その対象が、沖縄県の「自然環境保全指針」で「最も厳正に保全すべきランクT」である辺野古地先とされたことはさらに理不尽です。

 軍事専門家からも海兵隊の抑止力や沖縄の「地理的優位性」は既に大きく疑問視されています。今後の国際関係の構築は軍事力でなく、話し合いを通じた外交力で行うことが国際社会の流れであり、軍事力増強は時代遅れです。基地や軍隊のあるところが最も危険であること、軍隊は住民を守らないことは、夥しい血が流され、生き残った人々を今も苦しめ続けている沖縄戦で得た苦い教訓です。辺野古新米軍基地の建設はアジア地域の緊張をますます高め、再びこの島で戦争の惨劇が繰り返されるのではないかと、沖縄戦体験者らは危機感を強めています。

 また、県内移設が「負担軽減」にならないこと、日米両政府の言う「負担軽減」が口先だけであることを県民は身に染みて知っています。「移設先の自然・生活環境に最大限配慮できる」とされているのは、地元住民をあまりにも愚弄しています。自然環境も生活環境も著しく変化し、破壊されることは明らかであり、強い怒りを禁じ得ません。

 島袋吉和前市長と政府がV字形沿岸案で合意したことが「錦の御旗」にされていますが、彼は2006年の市長選で「沿岸案反対」を公約にして当選しており、これは明らかな公約違反です。これは市民への裏切り行為であり、「合意」は市民の意思に反するものです。名護市民の意思は1997年の市民投票で示されており、それは現在も変わっていないことは種々の世論調査でも明らかです。

 この理由書に書かれている埋立必要理由=基地建設必要理由はすべて破綻しています。私たち地元住民・県民が望んでいるのは「基地のない平和で自然豊かな沖縄」であり、私たちにとって埋め立て=基地建設の「必要」は100%ありません。
 

2)自然環境と次世代への責任について
 自然環境は人間の生きる基盤であり、それが破壊されれば、私たちは生きていけません。未来世代の生存基盤を、現在の私たちが壊す権利はありません。

 沖縄戦をようやく生き延びた辺野古のお年寄りたちは「海は命の恩人。基地に売ったら罰が当る」と言い、基地建設を「お願い」しにやってきた防衛局の役人に「どうしても造るなら私を殺してからやりなさい」と迫りました。陸がすべて焼け野原になった後、海の幸で命を繋ぎ、子どもたちを育てた体験が、「二度と『戦場の哀り』を子や孫に味わわせたくない」という強い思いと、海=自然への深い感謝という二つの柱となって彼ら・彼女らを支えてきたのです。彼らが顔を輝かせて語る辺野古地先の海の豊かさ、その恵みを、私たちは次世代に残す責任があり、その破壊をここで許してしまうことは、後世に対する犯罪行為だと考えます。

 私たち大人は、子どもたちに、よりよい自然環境と生活環境を保障し、子どもたちの未来に責任を持つ必要があります。「埋め立て」による自然破壊や、「基地建設」に伴う騒音や事故、米兵による事件の増大は必至であり、生活環境は大きく変貌します。子どもたちの教育環境も損なわれ、大人としての責任を果たせません。そして何よりも、辺野古新基地建設が戦争を招き寄せ、子や孫が戦場にさまようことを恐れます。

 以上、次世代への責任という意味からも、埋め立て=基地建設を許してはならないと考えます。私たちが次世代に残すべきものは「平和」と「自然」以外にないからです。


3)埋立土砂について
@ 辺野古ダム周辺が埋立土砂採取地域とされていますが、ここは名護市教育委員会が市内遺跡詳細分布調査の一環として行った平成23年度キャンプ・シュワブ内辺野古ダム周辺文化財調査において、この地域にかつて存在した屋取集落時代のものと思われる道跡、石積み、排水用と推定される溝状遺構などが確認されている地域です。

 公共の福祉や地域の発展のための施設や事業であれば、文化財の記録保存もやむをえない場合もありますが、米軍基地はそれとはまったく性格を異にする施設であり、地域住民を脅かし、地域にとって害しかもたらしません。そのような基地建設の埋立土砂採取のために、地域の先人たちの足跡を残す大切な文化財が失われることはきわめて理不尽です。

 また、辺野古ダム周辺の生態系は、やんばるの中でも恩納村・名護市にしか見られない湿地性植物が多く、沖縄県環境影響評価審査会においても「『陸のジュゴン』とも言うべき絶滅危惧種のナガバアリノトウグサなどがほとんど消失してしまう」(横田委員)という危機感が語られました。

 さらに、辺野古ダムは周辺住民の大切な水源地でもあり、土砂採取によって多大な悪影響を被ることは必至です。名護市は辺野古ダム周辺の市有地の使用は認めない姿勢ですが、私有地についても土砂採取を行うべきではありません。

A 沖縄島周辺における海砂採取については、総量規制のないこれまでの採取によっても既に、砂浜の減少や浸食、イノーの海底地形の変化、生態系の劣化などの悪影響が出ており、地域住民は危機感を抱いています。産業のためであっても、これ以上採取すべきではないと考えます。まして、基地建設のための埋立土砂採取はもってのほかです。

 私は、沖縄島周辺に生き残った国の天然記念物で絶滅に瀕したジュゴンの生息環境を保全するために活動している「北限のジュゴン調査チーム・ザン」のメンバーですが、ジュゴンの唯一の餌である海草は、海岸近くの海底の砂に藻場を形成することから、海砂採取による海草藻場への悪影響を懸念しています(埋め立てや巨大構造物の建設による海流変化などで辺野古の海草藻場が消失することは言うまでもありません)。

 今回の埋立用の海砂採取予定地が、ジュゴンの回遊ルートに重なることも大きな懸念材料です。ジュゴンはとても敏感な生き物で、人間活動との接触を嫌います。広大で良好な藻場があり、それまでよく利用していた辺野古海域を、2004年のボーリング調査を巡る海上での騒動以来、忌避している(アセス調査も含め防衛局による作業強行がジュゴンを追い出したとも言えます)例があり、海砂の採取や運搬に伴う騒音や海域の攪乱がジュゴンの生活や生態を乱し、さらなる生息環境の悪化につながる恐れがあります。

B 購入土砂も大問題です。アセス逃れのために政府は購入土砂を使用するとしていますが、多くの地域で海砂をはじめ土砂採取による環境への悪影響が大きな問題になっています。地域住民の反発も強く、埋立申請添付書類の中で採取場所の特定がされていないことにも示されるように、容易に確保できるとは思われません。

 仮に確保できたとしても、有害物質が含まれていないかどうかはもちろん、特に沖縄の亜熱帯島嶼生態系にとって、まったく生態系の違う場所から持ち込まれる土砂に含まれる移入種の問題、生態系の攪乱は危機的です。それは、世界自然遺産登録をめざす政府(環境省)の方針にも反するものです。

 また、購入土砂について、福島原発事故による放射能汚染の懸念も拭えません。採取場所がどのような場所で、どのような生態系を持ち、土砂に何が含まれているか、採取場所以外の土砂が混入していないか、等をどのように調査・点検し、移入種や有害物質の混入を避けることができるのか、その方法をきちんと示さない限り、島外からの土砂持ち込みを行ってはならないと考えます。


4)名護漁協臨時総会の議事録について
 最後に苦言を述べます。辺野古地先埋め立てに同意した3月の名護漁協臨時総会の議事録の多くの部分を、沖縄県が黒塗りして告示・縦覧したことは、情報公開を行って広く意見を求めるという告示・縦覧の精神に反するものであり、地元住民として、県民として納得できません。これでは「利害関係人」はきちんとした情報を得ることはできず、

意見を述べることもできないからです。漁協から非公開の要請があったとしても、それに応じることは公共の利益になりません。黒塗りしないものを出すべきです。

 私たちの地域にも名護漁協の組合員が少なくありませんが、とりわけ東海岸の漁民は基地建設に対して大きな不安を抱いていることを私たちは知っています。漁業が続けられるのか、生活ができるのか、彼らの多くが悩んでおり、反対したいが組織には逆らえないと、悶々としているのが実態です。積極的に「同意」した人はごく少数だと思われます。

 米軍占領時代の基地建設や日本復帰後の乱開発などによる赤土汚染が沿岸漁業を直撃し、米軍への訓練提供水域での事件や事故、漁業被害などが相次ぎ、沖縄の漁業は大きく損なわれてきました。埋め立てに伴う漁業補償を不本意ながら受け入れざるをえなくなるほど、沖縄の漁民を追い込んできた経緯を明らかにし、漁民が漁民として生きられる、後継者を育てられる海を取り戻していくことは沖縄県の重要な課題です。その意味でも、知事が埋め立てを「不承認」とされることを強く要請いたします。

以 上  
 
なお、意見書の詳述3)の土砂採取について、名護市広報誌の”市民のひろば”に掲載された例年のキャンプ・シュワブ内文化財調査結果が明らかにしているように、辺野古ダム周辺の土砂採取が文化財の保全の上でも許されないことは明らかです。このことから、名護市議会に”キャンプ・シュワブ内辺野古ダム周辺文化財の現状保存を求める陳情”を行いました。
2013年6月10日
名護市議会議長・比嘉祐一殿
ヘリ基地いらない二見以北十区の会
(共同代表・渡具知智佳子/浦島悦子)
辺野古・命を守る会(代表・西川征夫)
キャンプ・シュワブ内辺野古ダム周辺文化財の
現状保存を求める陳情
 市民の付託を受けた日々のご尽力に感謝申し上げます。

 さて、名護市広報「市民のひろば」の今年3月号によりますと、名護市教育委員会が市内遺跡詳細分布調査の一環として行った平成23年度キャンプ・シュワブ内辺野古ダム周辺文化財調査において、この地域にかつて存在した屋取集落時代のものと思われる道跡、石積み、排水用と推定される溝状遺構などが確認されています。

 辺野古ダム周辺は、政府・防衛省がキャンプ・シュワブ沿岸部(辺野古崎)に計画している普天間基地代替施設建設のための埋め立て土砂採取地域とされており、計画通りに進めば、わが地域の先人たちの足跡を残す大切な文化財が失われてしまいます。

 公共の福祉や地域の発展のための施設や事業であれば、文化財の記録保存もやむをえない場合もありますが、米軍基地はそれとはまったく性格を異にする施設であり、地域住民を脅かし、地域にとって害しかもたらしません。そのような基地建設の埋め立て土砂採取のために、先人たちが汗を流して築いた大切な遺構が失われることはきわめて理不尽です。

 私たちは、地域の歴史を大切にし、次世代に伝える責任を持つ地域住民として、次のことを要請し、陳情いたします。
*辺野古ダム周辺の埋め立て土砂採取をやめさせ、文化財を現状保存すること。
以上
名護市広報誌”市民のひろば”2013年3月号より
みなさん! 10区の会がめげないよう、 応援をおねがいします。
郵便振替 01730-9-9673 ヘリ基地いらない二見以北10区の会