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2012年   2月12日 辺野古アセスの近況ご報告
  文・写真 浦島悦子
辺野古アセスの近況のご報告
 2月8日、沖縄県環境影響評価審査会は、辺野古アセス評価書について、「環境保全は不可能」とするきわめて厳しい、異例の答申を沖縄県に提出しました。辺野古アセスをめぐるこの間の状況を簡単にご報告します。



辺野古アセス評価書に「レッドカード」

 昨年末、県庁御用納めの未明、闇に紛れて守衛室に搬入するという非常識なやり方で評価書が提出され、県民の怒りが渦巻いたことについては先に報告しましたが、この評価書について沖縄県環境影響評価審査会は1月19、27、31日の3回、審査を行いました。評価書に住民意見を聞くことは法的に義務づけられていませんが、評価書段階になって初めて「MV22オスプレイ」の配備が明記されたこと、滑走路の長さや飛行経路など環境に著しい影響を与える変更が行われたことから、沖縄県は県として独自に県民意見を受け付け、また審査会でも、住民からの要望に応えて、住民代表10人が直接意見を述べる場を設けるという異例の措置をとりました。私(浦島悦子)も、地元住民の立場から意見を述べさせてもらいました。(審査会での意見に加筆して沖縄県に提出した私の意見書を末尾に掲載します。)

 100億円もの費用(国民の血税)をかけ7000頁に及ぶ評価書を作成しながら、その結論がすべて「影響はない」か、あっても「最大限の回避・低減が図られている」と評価されていることに、審査会委員や住民から「出来レース」「結論ありきのアワスメント」「方法書・準備書・評価書と進むにつれて環境影響が軽減されるはずのアセス手続に完全に逆行している」と、ゼロオプションを含め方法書手続からやり直すべきだという強い批判が続出しました。

 2月8日、県に提出された審査会答申は、「やり直し」こそ求めなかった(住民や委員から強い意見があったことは前文で触れています)ものの、「環境の保全上重大な問題があると考えられ、………生活環境及び自然環境の保全を図ることは、不可能と考える」と、事実上の「レッドカード」を突きつけました。

 審査会答申を受け、県民意見も含めて、仲井真知事は2月20日までに飛行場建設事業部分に関する知事意見を防衛局に提出する(埋立事業部分については3月27日まで)ことになります。審査会期間中に、辺野古アセスを請け負ったアセス会社への防衛省OBの天下りの実態や、真部局長の地位を利用した宜野湾市長選(2月12日投開票)への介入が大きく報道され、またもや県民をあきれさせました。



辺野古アセス違法確認裁判で集中審理

 地元住民や県内外の原告600人余が、辺野古アセスは違法であるとして、やり直しを求めた裁判の集中審理が1月11、12、13日及び2月1、2日の5日間、那覇地方裁判所で行われ、アセスや法律の専門家、ジュゴンやサンゴの専門家、原告などが法廷に立って証言しました。被告の政府・防衛省は、訴えの却下=「門前払い」を求めていましたが、酒井良介裁判長はそれを退けて、現場調査も含む丁寧な実質審理を行っており、各証人や原告に対する質問にも熱意が感じられました。

 2月1日には、十区の会の東恩納琢磨さん、渡具知智佳子さんも原告として証言台に立ち、傍聴者の胸を打つ証言を行いました。
辺野古アセス裁判で証言した専門家や原告ら
那覇地裁前の渡具知智佳子さん。証言を終えてホッとしています。
 3月5日には、オスプレイの沖縄配備を知りながら隠し続けていた高見沢将林氏(2008〜2011年8月まで防衛省防衛政策局長を務めた)を証人として喚問することが決定(原告側が要請し、防衛省はオスプレイについての証言を不許可としましたが、酒井裁判長は「関連質問ならできる」と判断)し、裁判はいよいよ大詰めを迎えました。6月頃に結審、8月頃に判決が出る予定です。
 


普天間基地の無条件返還・撤去を!

 審査会答申と同日、日米両政府は在日米軍再編の見直しを共同発表しました。これまで「パッケージ」とされていた普天間基地の辺野古移設と、在沖海兵隊のグアム移転及び沖縄島南部の米軍施設の返還を、辺野古移設の目処が立たないため、切り離して進めるというものですが、一方で、辺野古移設の現行案を堅持する、としています。

 知事意見を受けて修正した評価書を1ヶ月間、公告・縦覧したのち、公有水面埋め立て承認申請は6月頃か、と報道されていましたが、玄葉外相は申請を当面見送り、時間をかけて「沖縄の理解を得る」姿勢を見せています。結局のところ、真綿で首を絞められるような名護の状況は変わらないばかりか、「辺野古に移設しなければ普天間が固定化されますよ」と、悪いのは名護市民・沖縄県民だと言わんばかりの圧力が強まることが懸念されます。

 沖縄の民意はこの上もなくはっきりしています。どうか、普天間基地の無条件返還・撤去に全国の皆さんの力を貸してくださるようお願い申し上げます。
沖縄県辺野古環境アセス審査会での意見に加筆して沖縄県に提出した私(浦島悦子)の意見書を転載します。
沖縄県知事 仲井真弘多さま
普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価書への意見
 名護市民として、また、この施設が建設されれば甚大な影響を受け、生活破壊が懸念される地元住民として、環境保全の見地から意見を述べます。


対象事業の目的について
 本事業は2006年4月7日の(当時の)防衛庁長官と名護市長・宜野座村長との合意が基本になっているが、そもそも名護市民は1997年12月の市民投票で基地反対の市民意思を示し、その後、市民意思と首長の意思とのねじれが続いたものの、2010年1月の名護市長選によって市民意思を体現する市長が誕生、普天間代替施設を辺野古に建設する日米合意に明確に反対し、それを行動に移してもいる。2010年の県知事選では仲井真知事が「県外移設」を公約にして当選し、現在もその姿勢を堅持している。

 準備書段階と今日では状況が大きく異なっているにもかかわらず、評価書が180度に近いその変化を無視しているのはきわめて不当である。


代替施設の運用について
 私たち地元住民が最も心配しているMV22オスプレイの配備が、当初からわかっていたにもかかわらず準備書段階まで隠され、アセス手続の最終段階、住民が直接意見を言えない評価書で初めて出されたことは、きわめて不当であり、「合意形成のツール」であるはずのアセス手続の精神に著しく反するものである。

 また、当初から「あり得ない」と言われていた台形の飛行経路(場周経路)が評価書で長円形に変更されたが、去る1月12日、辺野古アセス訴訟の法廷で普天間基地の運用実態について証言した宜野湾市基地政策部の山内繁雄部長は、米軍は場周経路を守らないと断言し、海上の平坦なところは訓練に適さないため陸上も使うことが容易に推定される、場周経路でなく運用段階の図面を示すことが必要だと述べた。そこで図示された、普天間基地の運用実態から推定される辺野古代替施設の運用状況は非常に衝撃的だった。私の居住区は、評価書において最も騒音の影響を受けると予測されている安部集落に隣接しているが、安部だけでなく私の集落の上も縦横に飛び回り、影響は多大であることを実感した。

 評価書では場周経路のみが示され、北部訓練場や伊江島などへ飛ぶ際の経路は示されていない。基地間移動やタッチアンドゴーも含め、住宅地を避けることはできないと、山内部長は普天間の経験から明言した。

 評価書では、「気象、管制官の指示、安全、パイロットの専門的な判断、運用上の所要等により図示された場周経路から外れることがあります」としており、「運用上の所要」と言えばどんなことでも可能になるとしか思えない。また、「代替施設から他の施設への飛行経路については、米軍の運用に関わるものであり、具体的に決まっていない」ものの、「集落地域上空の飛行を回避するとの方針については、米軍からも理解を得ていると認識」しているが、米軍の実態を見ればそれ
が期待できないのは明白である。


騒音、低周波音について
 オスプレイの配備によって騒音レベルも、低周波音による「心理的・生理的影響」「物的影響」も増大することが評価書では示されているが、閾値を越えるとされる安部集落でも「飛行回数はわずか」「短時間」で「影響が出るとは限らない」とされていること、低周波音の影響を「睡眠障害」だけしか取り上げていないことは、きわめて不当である。

 離発着回数についても、「米軍の運用の細部に係わる事項であり、あらかじめ示すことは困難」とされ、アセスの最終段階においても運用の内容は具体的に示されず、住民の不安をますます増大させるだけのものでしかない。私の集落の住民は「ここに住めなくなるのではないか」「引っ越ししなければならないのか」と不安を募らせている。


地形・地質について
 評価書では、施設建設による防災上の問題はないとしているが、地域住民は、昨年の東日本大震災によって、大浦橋が流されるなど多くの被害をもたらしたチリ津波の記憶を呼び覚まされ、不安を感じている。大浦湾の入口が埋め立てられ、巨大な構造物ができれば、津波が起こったときにどんな影響が出るのか。それを想定した予測・評価を行うべきである。


景観、人と自然との触れ合い活動の場、歴史的・文化的環境について
 自然環境は、その景観を含め、地元住民にとって生産と生活の基盤であるだけでなく、歴史・文化、精神を育む土壌である。この海域を主な生息場所とするジュゴンの存在は、山・川・海を含むこの地域の自然の健全さ、豊かさに支えられており、それは、ここに住む私たちの誇りである。

 事業者が、景観や「人と自然との触れ合い」を外在的なものとしか捉えていないことは決定的な瑕疵である。景観は単なる「眺め」ではなく、精神や人格を形成するものであり、また自然との触れ合いは、公園等のような人工的なものよりもむしろ、衣食住を支える、厳しさも含めたありのままの自然とのつきあいが根幹である。事業によってそれらがどのような影響を被るのかが予測・評価されるべきである。

 自然環境が改変・破壊されることは、農・漁業をはじめとする生産活動、衣食住を含む生活、子どもたちの教育、精神形成、歴史・文化等の全てに甚大な悪影響を及ぼすことは必至である。住民にとって非常に切実なこれらの点について、私は準備書に対する意見を述べたが、それに対する事業者の見解はすべて、「変化は小さく」「影響はない」とされ、評価は判で押したように「(影響は)事業者の実行可能な範囲で最大限の低減が図られている」とされており、きわめて不当である。

 例えば、代替施設建設によって消失する「伝統的な行事及び祭礼の場等の移動先について検討を実施します」とあるが、それらは伝統的なその場所において意味を持つのであり、移動によって「環境保全措置」ができるものではない。そもそも、伝統行事や祭礼は、生産や生活の基盤としての自然環境と人との関わりから生まれ、育まれたものであり、自然環境の改変は伝統行事や祭礼の源を破壊・改変してしまうという視点が欠落している。


最後に
* このアセスは、アセス手続の前提である地元合意もなく、何が何でも基地建設を行うという結論に合わせるためだけに、強引な手法で結論を正当化するものであり、このようなアセスがまかり通るなら日本のアセス制度は死に体となってしまいます。アセス制度の崩壊が沖縄から始まったと言われないよう、また私たち地元住民にとってだけでなく全県民、否、地球の宝であるこれらの大切な自然を次世代に引き継ぐために、ゼロオプションを含む代替案を提示して、方法書手続からやり直すべきです。

* 名護市、また沖縄県全体を見てもこの事業に対する合意は皆無であり、アセスの前提そのものが崩壊しています。私(たち)は「県外移設」という仲井真知事の公約を強く支持します。知事がこの公約に基づき、事業実施は不可能であること、政府は埋立申請を行うべきではないことを、そして、申請しても「認可しない」と、知事意見に明記されるよう要望します。
 
以 上
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