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2010年  6月19日 「二見以北地域交流拠点施設」で
「大浦湾の生き者たち」写真展
  文・写真 浦島悦子


「二見以北地域交流拠点施設」で 「大浦湾の生き者たち」写真展
 大浦湾沿いに建つ「二見以北地域交流拠点施設」で6月5〜13日、「大浦湾の生き者たち」写真展が行なわれました。

 主催したのは、瀬嵩を拠点に大浦湾の調査を続けているダイビングチーム・すなっくスナフキン(西平伸代表)。施設を暫定管理している名護市の振興対策室が協力しました。地域内外、また観光客も含め、参観した多くの人たちが、施設の目の前に広がる大浦湾の、森林・川・マングローブ林・干潟・海草藻場・サンゴ礁とつながる多様で豊かな生態系、そのそれぞれに生息する不思議で美しい、たくさんの生き者たちに感嘆の声をあげました。

 「生き物」でなく「生き者」という字を使うのはスナフキンの人々のこだわりで、「物」ではなく、人間と対等の「者」だという意味が込められています。

 5〜6日と12〜13日の週末には写真展の隣で地域の物産即売会が行なわれ、相乗効果で賑わいました。今後の拠点施設の使い方を考える上でも、とてもいい試みだったと好評でした。

 「二見以北地域交流拠点施設」の由来については、『インパクション』誌の連載記事で私が書いた文章がありますので下に掲載します。ご覧下さい。
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「負の遺産」を地域自立の拠点へ
 3月末、名護市東海岸大浦湾沿いに完成した赤瓦屋根の豪華な施設が、「二見以北地域交流拠点施設」というその名称とはうらはらに、地域住民を困惑させ、悩みの種となっている。

 その最大の原因は、この施設が内容や経過を含め住民にほとんど知らされないまま造られてしまったことだ。過疎化の進むわが二見以北に行政の光を当て、その振興・活性化が必要なことには誰も異論はないが、地域住民が望んでいるのは身の丈に合った振興策であり、もし当初から情報公開がされていれば、住民のほとんどはこのような施設の建設を望まなかったであろうことは、はっきりしている。

 実はこの施設、もともとは新基地(普天間代替施設)受け入れのアメとして、島袋吉和・前名護市長と二見以北の区長たちとの談合で、建設費(土地造成費を含む)3億2600万円は100%防衛省予算から、運営費も(採算が取れないのは前提の上で)米軍再編交付金2000万円を当てるという口約束のもとに造られた、外見とは逆のダーティな施設なのだ。

 区長たちが2004年に作った「二見以北地域振興会」という組織が、この施設の管理運営をめざすものだとは、地域住民はつい最近まで知らなかった。住民の間で「道の駅ができるらしい」という噂がささやかれていたが、過疎化の進む二見以北は交通量が少なすぎて、国土交通省管轄の「道の駅」の立地条件には該当しない。施設はあくまでも、補助金を当てにした区長たちの天下り先として期待されていたようだ。

 ところが、市長選で十区の全区長が支持した島袋氏が、まさかの敗北を喫し、基地を受け入れない稲嶺進・新市長が誕生したため、米軍再編交付金がなくなってしまった。交付金に頼らず自力で運営できる自信のない振興会はすっかりやる気をなくし、投げ出したがっているのが現状だ。

 地元特産品の開発や販売、観光に役立てるというのが大義名分だが、近隣の類似施設の多くが赤字を抱えている中で、他地域よりさらに過疎の二見以北で維持できるとは常識では考えられない。振興会がコンサルに作らせた事業計画では年間6000万円近い売り上げを見込んでいるが、どこからこんな計算が出てくるのか、あきれるばかりだ(振興会自身もそれで行けるとは思っていないから、補助金を当てにしているのだが)。多くの人が、膨大な維持管理費が地域住民の負担となってのしかかるのではないか、地域の共同売店や個人経営の食堂・商店が潰れてしまうのではないかと不安を抱いている。

 しかしながら、造るべきでなかった施設とはいえ既に完成しており、壊すわけにもいかないし、国民の血税で造った施設をどこかの私企業に明け渡すことも私たちは望んでいない。どうすれば文字通りの「地域交流拠点施設」として活かせるのか、この困難な課題に取り組んでいくしかないのだ。

 この施設は前市政の「負の遺産」と言われ、現市政がそのツケを回された形になったが、幸いにも3月市議会で、振興会を指定管理者とする議案が委員会付託となり、いくらかの時間的猶予ができた。米軍再編交付金がダメなら別の補助金を、という声が区長たちから出ているらしいが、そのような安易な補助金頼みでは、いつまでたっても地域は自立できない。原点に立ち戻り、地域が真に自立していくための方向性を探る開かれた論議が巻き起こせるなら、この困難を逆に活かすことができるのではないかと思う。

 そのためには先進事例やさまざまな可能性を検討する時間が必要だ。あとで後悔しないために、地域住民が互いにじっくり議論し、施設の所有者である市も一緒に考えてほしいと思う。この施設がほんとうに地域のためになると住民が納得し、自分たちの手で活かせると自信を持てば、応分の負担はいとわないだろう。

 そういう目で見れば、この施設は大浦湾沿いという願ってもないロケーションを持っている。地域の物産販売と併行して、地球上でも希有の生物多様性を持つ大浦湾を保全し紹介する施設、地域住民や大浦湾の自然に関心を持つ人たちの調査やエコツアーの拠点としても活かせないかと、夢がふくらむのだ。



(2010年4月5日)
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