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2009年  3月18日 テーマ 生き物マップで大浦湾の未来について考える
文・写真 浦島悦子
3月14日に行われた大浦湾シンポジウムの報告をJANJANに投稿しました。これはその記事を転載したものです。
生き物マップで 大浦湾の未来について考える

挨拶する沖縄リーフチェック研究会会長・安部真理子さん


ダイビングチーム・すなっくスナフキンによる「大浦湾の生き者たち」写真展。チームのこだわりです。「生き物」でなく「生き者」なんですよ。


パネルディスカッションの様子

 名護市東海岸・大浦湾のサンゴ群集とそこに棲む生き物たちの調査を合同で進めてきた沖縄リーフチェック研究会、ダイビングチーム・すなっくスナフキン、ジュゴン保護基金委員会の三者は、2年間にわたる「大浦湾生き物マップつくりプロジェクト」の成果を発表するとともに今後の保全のあり方を探ろうと、シンポジウム「大浦湾のさまざまな生き物たち〜大浦湾の未来について考えよう〜」を3月7日、名護市内で開催した。

 生物多様性の宝庫でありながら、米軍基地(普天間飛行場代替施設)建設の計画をはじめ、さまざまな人為的脅威にさらされている大浦湾を守り、後世に残していきたいと願う人々が集まり、大浦湾をめぐる5つの報告に耳を傾け、熱心な論議を交わした。

 会場には、すなっくスナフキンのメンバーが撮影した数え切れないほどの写真が壁いっぱいに展示され、参加者たちは、多様な生息環境に生きるカラフルでユニークな生き物たちに見入っていた。

 今回のプロジェクトの結果報告を行った沖縄リーフチェック研究会会長の安部真理子さんは、「大浦湾は水深が深く、ラッパ状に切れ込んだ、他にあまり見られない地形をしており、浜から礁斜面まで複雑な生態系が構成されている」とし、これまでのリーフチェックの結果を示しながら、「赤土流出やオニヒトデの食害、白化現象などにより沖縄諸島全体のサンゴの状態が悪化している中で、大浦湾には豊かなサンゴ群集が残っている」と指摘。湾奥の大規模なユビエダハマサンゴ群集、チリビシ(海の地名。切れ干瀬)のアオサンゴ群集、沖に近い「ハマサンゴの丘」(多くの種類のハマサンゴが一同に会しているポイント)、岩礁域の塊状ハマサンゴ群集などを、調査方法も含めた映像を使って紹介した。

 「大浦湾生き物マップ」にはこのほか、大浦川河口のマングローブ林、干潟、潮間帯、海草藻場、砂地、泥場、沖の瀬など湾内のさまざまな環境と、そこに棲む多種多様の生き物たちが掲載されている。大浦湾は、日本に棲息するクマノミのすべて(6種類)が見られること、生きたスイショウガイに背負われる形で共生するため「歩くサンゴ」と呼ばれるキクメイシモドキが生息すること、などでも特筆され、ウミンチュ(漁師)からは「高級魚の捕れる海」と言われている。

 チリビシのアオサンゴ群集合同調査(日本自然保護協会、WWFジャパン、国士舘大学地理学研究室、沖縄リーフチェック研究会、じゅごんの里による)の報告を行った日本自然保護協会の大野正人さんは次のように述べた。

「07年9月、大浦湾の通称チリビシで大規模なアオサンゴ群集(50m×30m×高さ12m)が発見され、08年1〜5月に調査を行った。アオサンゴは一属一種の造礁サンゴで、絶滅危惧種U類に指定されているが、大浦湾のアオサンゴは石垣島白保のアオサンゴとも違った特徴を持っている。白保のアオサンゴが、水深の浅い場所に水平方向の二次元的分布を見せ、板状に幾重にも折り重なった形状を持つのに対し、大浦湾のアオサンゴは、水深14mの深い場所に垂直方向の三次元的塊をなし、指状に伸び上がって林立する。

 チリビシは内湾側の端に位置し、地形やさまざまな条件が微妙なバランスを保っている、ここにしかない場所。大浦湾海域は特異性が高く、生物多様性上の保全すべき重要地域(ホットスポット)と言える。

 普天間飛行場移設計画は、アオサンゴ群集をはじめこの海域の生物多様性に大きな悪影響を及ぼす可能性が高い。計画を中止し、海域保護区の設定や保全管理計画を策定することが必要だ」

 このほか、北限のジュゴン調査チーム・ザンの鈴木雅子さんが、ジュゴンの食み跡調査の取り組みについて、ジュゴンネットワーク沖縄の細川太郎さんが「沖縄島東海岸の海草藻場とジュゴン」について、私が「大浦湾の自然と人との関わり」について報告した。

 第2部のパネルディスカッションは、パネリスト(主催者および報告者)に会場参加者もまじえて行われ、どうすれば大浦湾の生態系を守っていけるかを話し合った。

 アオサンゴの発見以来、ダイビングに訪れる人々が増えていることもあり、大浦湾における自主ルールの必要性が共通課題となっている。ジュゴン保護基金委員会の東恩納琢磨さんは「まずはアオサンゴの保護から大浦湾全体に広げていきたい。最低限、アオサンゴの上にアンカーを落さないこと、(サンゴや生き物を)取らないこと」と述べ、大浦湾を漁場とする漁師にも関わってもらうために話し合いを始めたことを報告した。

 パネリストから、アオサンゴの天然記念物指定、海域保護区の設定、まもなく沖縄防衛局から出されてくる普天間代替施設の環境アセス準備書への対応、などの課題が出され、会場からは「目標を何に置くのか、そのためにどんなツールが使えるかがポイント」」などの意見があった。この日を出発点に、「情報の共有」「自主ルールや保護区と漁業資源の関係など、国内外の先進事例に学ぶこと」から始めようと確認された。


「大浦湾生き物マップ」パンフレット

「大浦湾生き物マップ」パンフレットは無料で配布しています(郵送費のみ負担)。A4封筒に住所氏名を明記の上240円切手を貼って、下記住所に郵送してください。
  〒903-0129
  沖縄県中頭郡西原町字千原149-28 泉マンション402

       沖縄リーフチェック研究会 安部宛
問い合わせ:沖縄リーフチェック研究会 
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