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2007年 6月 1日 テーマ [論評] 事前調査への海上自衛隊艦艇の派遣
前代未聞の暴挙は政府の焦りの反映
    浦島悦子
海上自衛隊の掃海母艦が沖縄に向けて出動
 この国はついに無法国家となり果てたのか! 5月11日、沖縄テレビは、海上自衛隊の掃海母艦「ぶんご」が横須賀港から沖縄近海に向けて出港したと報じた。辺野古・大浦湾沿岸への新基地建設に向けた事前調査の機材設置作業を「支援する」ためという。

 これに先立つ9日夜、「政府が海上自衛隊動員の方針」という日本テレビの報道を伝え聞いたときは「まさか、いくら何でも…」と半信半疑だった。翌10日午前の記者会見で塩崎官房長官は「可能性はあるかもわからない」と言葉を濁した。その舌の根も乾かないうちに出動させたのだ。

 那覇防衛施設局は4月24日、市民団体や専門家からの相次ぐ中止要請にもかかわらず、環境アセス法違反の事前調査(海域の環境調査)を強行開始。26日までの3日間で「調査地点の確認」を終え、5月連休明けには調査機材の設置作業に着手すると発表していた。カヌーや小型船による住民らの海上抗議・阻止行動に対し、チャーター船6船団、海上保安庁の大・中型巡視船やゴムボートなど総計40隻もの物量作戦を展開したのだが、それではまだ足りないというのだろうか。

 国民の正当な抵抗権を、軍隊を派遣してまで抑え込もうとする国はもはや法治国家とは言えない。それとも、安部政権にとって沖縄住民は、敵国民か「テロリスト」なのか。

 自衛隊法に照らしてもこの派遣には無理があるが、自衛隊員を防衛施設庁に出向させ、施設庁職員として潜水作業に当らせるという。アセス法を逃れるために事前調査を強行するのと同様の脱法行為だ。

 15日現在、「ぶんご」が紀伊半島沖で停泊していることが確認された。到着を前に辺野古現地には緊張がみなぎっているが、悲壮感はない。反対運動を越えて「平和を創り出す」ために、これまでと同じように自衛隊員に対しても一人の人間として丁寧に対応しようと確認し合っている。

 ヘリ基地反対協議会は、海上行動や座り込みへの参加、防衛省に対する派遣中止要請の集中を呼びかけている。
(浦島悦子・フリーライター)
この文書は『週刊金曜日』5月18日号に掲載されたものです。
掃海母艦「ぶんご」沖縄到着
米基地建設調査に海自出動
 新たな米軍基地建設に向けた事前調査を「支援」するため、海上自衛隊の掃海母艦「ぶんご」が11日、横須賀港から沖縄へと出動(前号の本欄で既報)。17日夜から18日未明に、辺野古沖に到着した。調査機器の海底設置作業が開始されるとの情報で辺野古漁港に駆けつけ、夜を徹して座り込んでいた百人余の市民らは、次第に明るんでくる海が真っ黒に見えるほど多くの船団で埋め尽くされているのを見た。

 出港しようとした住民側の船に海上保安庁の職員が乗り込んできて異例の船舶検査を行なったため、出港は大幅に遅れた。これは、海自の水中処分員(ダイバー)による作業を円滑に進めるための時間稼ぎだったと思われる。

 住民らの船とカヌーが海上に出た時には、すでに作業の真っ最中だった。しがみつくカヌーをそっと引き離そうとする作業船の船長に、海保職員が「スピードを上げろ!」と命令。海保のゴムボートがわざと大波を立ててカヌーを転覆させたり、潜っている市民側ダイバーの上を走り回るなど、名称とは正反対に海の安全と命を危険にさらした。

 翌19日朝、病気療養中だった辺野古・命を守る会代表、金城祐治さんの訃報が届き、現地は悲しみに包まれたが、その日も海自を含めた作業は続いた。住民らは金城さんの遺志を胸に刻み海上行動を展開したものの、防衛施設局は圧倒的物量で強行。20日までに海象調査とサンゴの着床器具の設置を終えたが、生きたサンゴを破壊するなどのずさんさに抗議が高まっている。

 今回の自衛隊投入に、沖縄戦時の日本軍の恐怖を呼び覚まされた県民は少なくない。事前調査を受け入れた仲井真弘多県知事や島袋吉和名護市長も「無神経だ」「異様だ」と不快感を示し、自民党県連ですら「本県の本質的な政治情勢を理解していない」と批判。自衛隊出動に必要な公共性・緊急性・非代替性の要件を大きく逸脱した前代未聞の暴挙は、政府の焦りの現われと言えよう。
(浦島悦子・フリーライター)
この文書は『週刊金曜日』5月25日号に掲載されたものです。
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