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2009年  3月 8日 新緑の森と大保ダムに沈む滝
  写真・文 浦島 悦子
新緑の森と大保ダムに沈む滝
 先日、建設中の大保ダムによってまもなく水没する予定の滝を撮影するという沖縄テレビ「河川・環境シリーズ」撮影班に同行しました。

 名護市の隣村、大宜味村を流れる大保川は、かつて沖縄八景の一つと歌われた風光明媚な塩屋湾に注ぐ全長13km余の川です。大保ダムは沖縄北西部河川総合開発事業の一環として1995年、関連道路工事が開始され、まもなく完成予定。完成すれば沖縄で二番目に大きな規模となる国管理ダム(主目的は水道用水)で、今後、09年度には試験湛水が行われます。

 3月のやんばるの森は、萌え出る新緑でむせ返るよう。黄金色の新芽と花(雄花・雌花)が同時に樹冠を飾るイタジイ。赤い新芽をちりばめたイジュ。樹冠いっぱいに真っ白い花を咲かせるクロバイが、今年はことのほか目だちます。シャリンバイ、アオバナハイノキ、ハクサンボクなどの花も今を盛りと咲き乱れ、山々は命の息吹であふれんばかりです。林道沿いではウグイスが見事な囀りを響かせ、谷間からはヤンバルクイナが呼んでいました。
新緑の山々
ハクサンボク
クロバイ
アオバナハイノキ
シャリンバイ
シダとケラマツツジ
ヘツカリンドウ
タブノキの新芽はまるで花のようです
アマシバ
イタジイの新芽と花
 水没予定の滝と滝壺はことのほか美しく、これがなくなるなんて信じられません。滝の周りの林床は新芽(丸いゼンマイ)をいっせいに芽吹かせたシダに覆われ、その間からケラマツツジの朱色の花が覗いています。
 一つの岩に幾種類もの苔が緑の小宇宙を作り、ランの仲間のキンギンソウがあちこちで蕾をふくらませていました。

 川自体の景観もすばらしく、ダイナミックさと繊細さを併せ持っています。しかし残念なことに、流域に村のゴミ処分場があったり、畜舎廃水が流れ込んで水質が悪化し、村民が川にあまり愛着を持っていないため、ダム建設によって川が失われることに関心がないと、ある村民から聞いたことがあります。
 しかしそれは川の責任ではありません。大保川流域にはたくさんの炭焼き窯の跡があり、人の暮らしに貢献してきたことを物語っています。水没予定地に完全な形で残っている炭焼き窯が最近発見されて地元紙でも大きく報道され、大宜味村教育委員会ではこれを移設保存する作業を進めています。

 川を汚したのは人間ですが、川を浄化できるのも人間です。汚染の原因を取り除いて愛着を取り戻し、この川を守ることもできたのではないかと、今さらながら後悔が胸を噛みます。大保川流域はイタジイやオキナワウラジロガシの古木も多く、絶滅危惧種のノグチゲラにとっては最良の生息地だったのです。写真や映像も含め大保川のすばらしさを伝える努力をした人たちも少なからずいたのですが、ダムを止めるまでには力が及びませんでした。
水没予定区域の滝と滝壺
この滝も水没予定です
大保川の景観
 せめてもう、これ以上、ダムを造ることはやめよう。県民の水は既に足りており、これ以上のダムは必要ない。仮に不足する場合でも、節水や、ダムに頼らない水源を開発するなど、方法はいくらでもある。私たち人間の便利さや欲の追求によって既に満身創痍のこの島の自然を、これ以上破壊してはならないと、改めて肝に銘じた川歩きでした。
みなさん! 10区の会がめげないよう、 応援をおねがいします。
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